2016/02/13

ブラックスキャンダル / Black Mass


【物語】※ネタバレあり

ジョエル(ジョン・コノリー)はボストンの低所得者層の街で育った。ジョエルはFBI捜査官となりボストンに戻ってきた。この街で欲望を満たすために。故郷がどれだけ犯罪にまみれていようが関係ない。
ジョエルには、あてがあった。幼なじみのバルジャー兄弟だ。兄貴のジミーは冷酷なギャングのボス(まだ小規模な組織でチンピラ程度だが…)弟のビリーは兄貴と違いクリーンな上院議員だ。ジョエルはビリーからジミーにつなぎをつけてもらい、ジミーにFBIの情報屋になるようもちかける。
ジョエルは、ジミーを信用出来ないと突っぱねる上司(ケビン・ベーコン)を、イタリアンマフィア撲滅の為だと説得する。こうしてジミーは情報屋になった。つまりFBIから逮捕されない身分になったのだ。
ジョエルはジミーの情報からイタリアンマフィアのアジトを突き止め盗聴し、大物たちを逮捕した。ジョエルはFBIの英雄となり大出世した。ジミーは商売敵がいなくなり、その上逮捕されもしないのでやりたい放題。あっという間にチンピラの親分からボストンの犯罪王に上り詰める。
ジョエルはこれでめでたしめでたしとなると思っていた。だが違った。ジミーはジョエル程度の小物がコントロール出来る男じゃなかった。怪物だった。ありとあらゆる不法行為で金を稼ぎ、邪魔者は敵だろうが身内だろうが素人だろうが、殺して殺して殺しまくった。 ジョエルはその度に、証拠を隠滅したり、証人をジミーに殺させたり、大忙しだ。すぐに糞まみれになった、ジミーの逮捕はジョエルの終わりだ。
ある日、新しい検事がやってきた。彼はジミーを逮捕する気だった。まともな検事だったら不思議な話じゃない、なんてったってジミーは誰もが知ってるボストンの犯罪王なのだ。
情報屋という庇護がなければ、ジミーはただの犯罪者だ。あっという間に帝国は崩壊した。手下たちは逮捕されジミーのことを証言した。ジョエルも逮捕されたが、証言を拒否し40年打ち込まれることになった。ジミーは逃亡したが結局逮捕された。

【点数】65点(100点満点)
【感想】※ネタバレあり
 決して悪くはない。が、予告編が悪い。この予告編を観たら誰だってこう思うだだろう。幼なじみの兄弟同然の絆で結ばれた3人組が、悪の限りをつくす。
 実際のところ、ジョエルとジミーは、確かに幼なじみだが、強い絆など全く無い。
 三人組の一人政治家のベネディクト・カンバーバッチにいたっては、悪いことは全くしない。ジミーが逮捕され上院議員を辞職し、その後、大学の総長になるが手配中のジミーと連絡をとった事がわかり辞職に追い込まれるという可哀想な役柄でしかない。予告編とは全くの別人と言って過言ではない。出番もジミーとジョエルと比べるとほとんどない。脇役だ。これは三人組の映画なんかじゃないんだ!
 これは出世のために犯罪者を手なづけようとした捜査官とコントロールなんかできやしない怪物の二人の男の物語だ。
 なので悪るーいベネディクト・カンバーバッチを期待して観ると、その落胆でやられてしまう。私はやられた。少しだけだが。
 映画としては悪く無い。実録物として良い。ジョニー・デップの殺しのシーンはとても良い。生々しい殺しのシーンの数々。まさに殺人を覗き見ているような感じだ。
 それにジョニー・デップのあの剃刀のような感じ、ジョニー・デップがジョエルの女房を心配するフリして散々に脅すというシーン、あの何かのきっかけで誰でも殺してしまうような感じが、恐ろしさと不快感がスクリーンから滲み出てくるようだ。
 手下たちも良い、特にジェシープレイモスが。いつもは人のよいマット・デイモンみたいな面して、意外に悪いやつというような役が多いが、今回は凶悪犯そのものだ。少し太って肌がガサガサで鋭い目つき、どう見てもギャングだ。最初別人かと思ったがやはり彼だった。
 結論として、実録犯罪映画としては本当に良い。
 

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